アダプティブクルーズコントロール(ACC)とクルーズコントロール(CC)の違い

 

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この記事の監修者

高木雅和(LUDIXカスタマイズプランナー)

1972年生まれ、東京都出身。 某有名カスタムバイクパーツメーカーを経て30年、2021年よりCreation & Supply を設立し、主に四輪用カスタムパーツの企画・開発をプロデュースしながら2024年にLÜDIXに参加し、カスタマイズプランナーとして活躍中

こんにちは!LUDIXの中西です。
今回のブログではACCとCCの違いについて書いてみました!
このブログであなたの疑問が解消されたら幸いです^^

 

長距離運転、特に高速道路での巡航は、常にアクセルペダルを踏み続けなければならず、ドライバーにとって大きな疲労の原因となります。この負担を軽減するために開発されたのがクルーズコントロール(CC)ですが、近年、この技術はアダプティブクルーズコントロール(ACC)として飛躍的な進化を遂げています。

しかし、「ACC」や「レーダークルーズコントロール」といった様々な名称が飛び交う中で、従来のクルーズコントロールと何が違うのか、どの機能が自分にとって本当に必要なのか、迷ってしまうドライバーも少なくありません。

この記事では、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール、定速走行・車間距離制御装置)と従来のクルーズコントロールの違いを、機能、技術、そして安全性という三つの側面から解説します。

 

 

1. クルーズコントロール(CC)の基本機能と限界

1-1. クルーズコントロール(CC)とは

従来のクルーズコントロール(CC)は、アクセルペダルを踏み続けることなく、ドライバーが設定した一定の走行速度を維持する機能です。

<CCの主な役割とメリット>

■疲労軽減

高速道路などでアクセル操作から解放されるため、ドライバーの疲労軽減に貢献します。

■燃費向上

無駄のない一定のアクセル操作を自動的に行うため、ドライバーの操作よりも効率的になり、結果として燃費が向上します。

■速度超過防止

設定速度を維持するため、特に長い直線や下り坂で意図せずスピードが出過ぎるのを防ぎます。

1-2. CCの決定的な限界

CCの機能は、あくまで設定速度の維持までで完結します。前方を走る車や交通状況に合わせて速度を調整する機能は備わっていません。

したがって、CC作動中に先行車が減速したり、車が割り込んできたりした場合、ドライバー自身がブレーキを踏んで減速し、安全を確保しなければならないという大きな限界があります。

 


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郊外に出かける際のACCはマストです(特に帰路)。

もちろん目視等で確認は必要ですが、疲労の蓄積した足を休める意味も込めてACCがあったほうが良いです。

 

2. ACCへの進化:車間距離の自動制御という革新

2-1. ACC(アダプティブクルーズコントロール)とは

ACC(Adaptive Cruise Control/アダプティブ・クルーズ・コントロール)は、従来のクルーズコントロールに先進運転支援システム(ADAS)が追加実装されたもので、先行する車両との安全な距離を自動的に維持するために車速を調整する機能です。

ACCの目的は、運転者による急接近や追突を減らし、安全と利便性を向上させることにあります。

ACCはメーカーによって「レーダークルーズコントロール」(トヨタ/レクサスなど)や「インテリジェントクルーズコントロール」(日産)、「アダプティブ・クルーズ・コントロール」(VW/ボルボなど)など、さまざまな名称で呼ばれています。

2-2. CCとACCの最も大きな違い

CCとACCの最も大きな違いは、前を走る車を追いかけるかという点に現れます。

比較項目

クルーズコントロール(CC)

アダプティブクルーズコントロール(ACC)

基本機能

設定速度を維持

設定速度を上限に、先行車との距離を維持

車間距離制御

なし(ドライバーが操作)

あり(センサーで自動調整)

自動ブレーキ

なし

あり(必要に応じて緩いブレーキを自動でかける)

疲労軽減度

一定速度走行時のみ

交通状況に応じて大幅に軽減

先行車がいない状況では、ACCはCCと同様に設定速度で定速走行を行います。しかし、先行車を検知すると、自動的にアクセル操作を行い、減速が必要な場合は緩いブレーキまで自動で制御します。ACCは、ドライバーが設定した車間距離を保ちながら、先行車に追従するように作動します。

 


 

3. ACCの心臓部:車間距離の検知技術


▲ゴルフⅦ前期(アダプティブクルーズコントロール搭載)

ACCが正確に車間距離を制御するために、車両には高度なセンサーが搭載されています。主な検知方法には「ミリ波レーダー」「光学式カメラセンサー」の2つのタイプがあり、一部の車種では両方のセンサーを組み合わせて使用しています。

3-1. ミリ波レーダー

車の先端(グリルの部分)に搭載されるセンサーです。

特徴

詳細

信頼性

雨や霧などの悪天候下や夜間でも影響を受けにくい

検知能力

前走車までの距離、相対速度、角度に加え、自車が近づいているか離れているかといった変化を瞬時に認識する能力に優れている

照射距離

約200m前後と長く、より高い車速まで対応可能。

3-2. 光学式カメラセンサー

カメラが映した情報をデジタル化して処理します。

特徴

詳細

検知対象

車だけでなく、道路の白線も認識できる

反応速度

最新のカラー画像対応カメラでは、前車のブレーキランプの赤色点灯を認識し、より素早い減速操作が可能。

立体視

光学式カメラを左右に2つ搭載した「ステレオカメラ」では、人間と同じ両眼立体視ができ、対象物を立体的に把握できるため、単眼カメラよりもきめ細やかな制御が期待できる。

弱点

レーダーに比べて天候の影響を受けやすい側面がある。

3-3. 複合センサーの採用

ミリ波レーダーと光学式カメラセンサーの両方を組み合わせることで、それぞれのメリットを活かしつつ、デメリットを低減した追従型クルーズコントロールを提供しているメーカーが多く存在します。

 


 

4. 渋滞でも大活躍!全車速追従機能付きACC

最新のACCはさらに進化し、「全車速追従付クルーズコントロール」として搭載されることが一般的になりつつあります。

4-1. 全車速追従機能とは

全車速追従機能付きACCは、通常のACCの機能に加えて停止保持機能が追加されています。

この機能の最大のメリットは、前の車が停止した際、自動的に車間距離を保った状態で自車も停止することです。

4-2. 停止と発進の制御

■停止保持

先行車が停止すると、自動的にそれに合わせて停止します。電動パーキングブレーキ(EPB)やホールド機能が採用されている車種では、前の車が発進するまで停止状態を保持できます。そうでない場合、停止状態を保てるのは約2秒間という制限があるケースもあります。

■再発進

前の車が発進した後、ドライバーがアクセルを踏むなどの操作を行うことで、再び安全な距離を維持して追従走行を開始します。

この機能は、特に高速道路の渋滞走行時において、停止と発進を繰り返す場面での運転者の負荷を大幅に軽減してくれます。

 


 

5. 走行シーン別:CCとACCの比較と選択


▲ザ・ビートル(クルーズコントロール搭載)

走行シーン

CC(クルーズコントロール)

ACC(アダプティブクルーズコントロール)

交通量の少ない高速道路

◯ (一定速度で疲労軽減)

◯ (CCと同様に機能)

交通量の多い高速道路

△ (先行車に追突しないよう頻繁な介入が必要)

◎ (自動で追従・減速し、疲労を大幅軽減)

渋滞時

× (ドライバーが全操作する必要がある)

◎ (全車速追従機能付きであれば停止・再発進を支援)

一般道

× (信号や一時停止に対応できない)

△ (交通状況の変化への対応は人間に及ばない)

CCはシンプルな一定速度の維持に特化していますが、ACC、特に全車速追従機能付きACCは、交通量の多いシーンや渋滞においてドライバーの負担を劇的に軽減するという点で優位性が際立っています。

 


 

6. 運転支援機能の限界と安全な利用法

ACCや全車速追従機能は非常に便利ですが、これらはあくまで運転支援機能であり、システムが運転操作の主体を代替する自動運転ではありません

6-1. 運転者は常に監視義務を負う

運転支援機能が搭載されているからといって安心すべきではありません。運転者は、絶えず前方や周囲の状況を確認し、安全運転を行う責任があります。機能を過信したり誤用したりすると、衝突被害軽減ブレーキやACCの性能の限界を超えて交通事故が発生するリスクがあります。

6-2. システムが適切に作動しない状況

ACCは、特定の条件下では適切に作動しない場合があります。運転者はその機能の限界を正しく理解し、責任を持って安全運転を行う必要があります。

■高速走行時の検知不能

一定の速度以上で走行している場合、センサーが前方の障害物を検知できず、機能が作動しない場合があります。

■急な割り込み/静止車両

先行車が走行経路上から急に車線変更などで外れ、静止車両や静止物が正面に現れた場合、システムが対象物を認識できない、または認識が遅れることがあります。

■悪天候/路面状況

大雪など光学式カメラが道路の白線を認識できない悪天候や、路面の凍結、舗装されていない道路では、機能が解除される場合があります。

■急カーブ/合流

曲率の大きいカーブなどでは、前方監視サブシステムが先行車を自動追跡できず、運転者の意図しない加速をすることがあります。合流の際もドライバーによるアクセル操作が必要です。

特に、運転時間が長くなるにつれて、機能を過信して注意義務がおろそかになっていないか、運転者自身が自戒することが大切です。

 


 

まとめ

従来のクルーズコントロール(CC)とアダプティブクルーズコントロール(ACC)の最も大きな違いは、車間距離の自動制御の有無にあります。


クルーズコントロール(CC)

アダプティブクルーズコントロール(ACC)

主な機能

定速走行の維持

先行車への追従・車間距離の維持

ブレーキ操作

ドライバーが必須

自動で制御 (全車速追従機能付きは停止まで)

推奨シーン

交通量が少なく変化の少ない高速道路

交通量の多い高速道路や渋滞時

ACCはミリ波レーダーや光学式カメラといった高度なセンサー技術によって、ドライバーに安全と利便性をもたらしますが、最終的な運転の主体は常にドライバー自身であることを忘れてはいけません。

ご自身の車の機能や注意点をよく理解し、ACCのメリットを最大限に活かしながら、安全で快適なドライブを楽しんでください。

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