ビートルが伝説のオフロード車「バハバグ」になった背景とは

■バハバグとは?

バハバグは、フォルクスワーゲン・タイプ1、通称「ビートル」をベースに、オフロードレース「バハ1000」を走破するために大幅なカスタムが施された特殊な車両です。その名前は、「バハ1000」というレース名と、フォルクスワーゲン・タイプ1の愛称である「ビートル(虫)=バグ(Bug)」を組み合わせたものと言われています。

■フォルクスワーゲン・タイプ1(ビートル)の歴史的背景

バハバグのベースとなるフォルクスワーゲン・タイプ1は、その歴史が第二次世界大戦前の1930年代に遡ります。


「国民車構想」の誕生

当時のドイツでは、アドルフ・ヒトラーが「すべての国民に車を」というビジョンを掲げ、都市間を結ぶ高速道路網(アウトバーン)の舗装と並行して、経済的な小型車「国民車」の生産を企画しました。

フェルディナント・ポルシェ博士による設計

この国民車計画の設計者として選ばれたのが、後に世界的スポーツカーメーカー「ポルシェ」の創業者となるフェルディナント・ポルシェ博士でした。ポルシェ博士は元々、小型で経済的なファミリーカーの実現を強く望んでおり、その夢を国民車として実現する機会を得ました。

当初のコンセプトと性能

ヒトラーが求めた国民車の条件は、「車体価格・維持費が安い」「頑丈で故障が少ない」「家族で乗れる」などという厳しいものでした。ポルシェ博士は、当時最先端の空冷水平対向4気筒エンジンをリアに搭載するRR(リアエンジン・リアドライブ)方式や、流線型のデザインを採用し、これらの要件を満たす車を開発しました。

戦争の影響と戦後の復活

1939年の第二次世界大戦勃発により、工場は軍用車の生産に転用され、民間向けタイプ1の量産は一時中断されました。しかし、終戦後、工場は再建され、タイプ1の量産が再開されます。

世界的な成功と愛称

1946年には1万台のタイプ1が生産され、1949年にはアメリカへの輸出も始まりました。タイプ1は、その丸みを帯びた独特のフォルムから、英語圏で「ビートル(Beetle)」や「バグ(Bug)」、日本では「カブトムシ」といった愛称で親しまれるようになりました。1972年にはT型フォードの記録を抜き、単一車種としては世界最多の2152万台以上が生産される「世界で最も売れた4輪車」となりました


(イメージ画像)

 

■「バハ1000」レースとバハバグの誕生

バハバグが生まれた背景には、世界で最も過酷なレースの一つとされる「バハ1000」があります。

レースの概要

バハ1000は、アメリカのカリフォルニア南部に位置するメキシコのバハ・カリフォルニア半島を縦断する約1000マイル(約1600km)のオフロードレースです。舗装されていない砂漠のような荒野を不眠不休で走り続け、走行時間は20時間以上にも及び、完走率は約半分という非常に過酷な条件で行われます。

タイプ1が選ばれた理由

タイプ1ビートルは、その頑丈さ、整備性の良さ、そしてパーツの入手しやすさから、この過酷なレースのベース車両として選ばれました。特に、エンジンのあるリアセクションやフロントサスペンション、ステアリング機構などが全てユニット化されており、ユニットごとのカスタムやパワーアップが容易であったという優れた特徴がありました。

 

■バハバグの独特なカスタム

バハ1000を攻略するために施されたバハバグの改造は、非常に個性的でした。

大きなタイヤと車高

でこぼこの荒地を走破するため、巨大なオフロードタイヤを装着し、車高を上げて車体が地面にぶつからないようにします。これに合わせて、サスペンションも大きく上下に動くように改造されます。

カットされたフェンダーとヘッドライト

大きなタイヤを装着しサスペンションストロークを確保すると、タイヤが本来のフェンダーにぶつかってしまうため、フェンダーはカットされワイド化されます。それに伴い、元々フェンダーにあったヘッドライトは、ボディ前面に2つ並べられた特徴的なデザインに移動されます。

剥き出しのエンジン

多くのバハバグでは、後部のエンジンが剥き出しになっています。これは、空冷エンジンがカバーで覆われていると冷却効率が落ちるため、暑いバハ・カリフォルニアの過酷なレースでエンジンの排熱効率を高めるためです。また、故障時にすぐに修理できる整備性の良さも理由の一つです。

愛嬌とパワフルさの融合

バハバグの魅力は、フォルクスワーゲン・タイプ1の可愛らしい見た目と、大きなタイヤを履いて荒地を走るパワフルな性能が融合している点にもあります。

 

■バハバグの文化と現在の状況

フォルクスワーゲン・ビートルは、タイプ1(空冷)、ニュービートル(1998年~2010年)、そしてザ・ビートル(2012年~2019年)と3世代にわたって生産されてきましたが、バハバグは初代のタイプ1をベースとした、オフロード走行に特化した独特のカスタムカーとして、自動車文化の中で特別な地位を確立しています。その独特な見た目と実用性を兼ね備えた魅力は、今も多くのファンを惹きつけてやみません.

 

■LUDIXが手掛ける「現代版バハバグ」カスタム

バハバグが生まれた時代から半世紀以上が経過し、ビートルもニュービートル、そしてザ・ビートルへと進化を遂げました。私たちは、この伝説的なスタイルと、現代のビートルが持つ「走りの楽しさ」を融合させ、LUDIX独自の「現代版バハバグ」をコンセプトにネオバグスタイルカスタムを手掛けています。

私たちのカスタムは、単に見た目を変えるだけではありません。ベースとなるのは、ニュービートルとザ・ビートルです。

具体的なカスタム内容としては、オフロード走行を可能にする車高アップから始まります。リフトアップキットを装着し、フェンダーとタイヤのクリアランスを確保。また、バハバグの象徴ともいえる迫力のあるオフロードタイヤを装着することで、唯一無二の存在感を放ちます。さらに、フロントとリアにはオリジナルバンパーを装着することでタフさを演出でき、同時にフォグランプ等を装着できます。ます。このバンパーは、見た目のカッコよさだけでなく、万が一の接触から車を守る機能的な役割も果たします。

LUDIXでは、お客様一人ひとりの好みに合わせたカスタムを提案しています。ベース車両の仕入れから、ボディカラー、シートカバーなど、世界に一台だけの特別なビートルを作り上げます。

「バハバグ」の持つタフで愛嬌のあるスタイルと、現代の技術が生み出す「走る楽しさ」を両立させたLUDIXのカスタムは、あなたのカーライフをより豊かで、冒険心あふれるものにしてくれるはずです。



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